太陽光発電は、余剰発電分を固定価格で買取ってもらえるFIT制度がありました。FIT制度は一般家庭の太陽光発電システムの場合、10年で終了となります。また、FITの買取価格も下落傾向です。FITの今後についてまとめました。
まずは、FITにおける太陽光発電の電力買取価格を確認しておきましょう。年度によって買取価格が異なります。
【住宅用太陽光発電(10kW未満)】
住宅用太陽光発電(出力制御対応機器設置義務なし)
2019年度 | 24円 |
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2020年度 | 21円 |
2021年度 | 19円 |
2022年度 | 17円 |
2023年度 | 16円 |
住宅用太陽光発電(出力制御対応機器設置義務あり)
2019年度 | 26円 |
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2020年度 | 21円 |
【事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)】
2019年度 | 14円+税 |
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2020年度 | 13円+税 |
2021年度 | 12円+税 |
2022年度 | 10円+税 |
2023年度 | 9.5円+税 |
【事業用太陽光発電(50kW以上250kW未満)】
2019年度 | 14円+税 |
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2020年度 | 12円+税 |
2021年度 | 11円+税 |
【事業用太陽光発電(250kW以上)】
2019年度 | 14円+税 |
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2020年度 | 12円+税 |
2021年度 | 入札により決定 |
出典元
上記の通り、買取価格は年々下がっています。その理由は何でしょうか?
そもそも、買取価格は、農林水産大臣、国土交通大臣、環境大臣、消費者問題担当大臣など関係大臣に協議や意見聴取、調達価格等算定委員会の意見聴取などをした上で、最終的には経済産業大臣が決定します。FITによる買取は、太陽光発電システムの導入費用を回収するのが第一目的です。買取価格は、最新期の1,000kW以上のシステム費用の中央値を水準に、翌年度の買取価格を決定します。1,000kW以上は大規模な発電設備です。
再生可能エネルギー特措法が定められた当初は、太陽光発電の導入を促進するために、売電価格を高単価に設定していました。まだ市場が確立されていなかったため、導入コストが高額の太陽光発電所も多かったのです。
徐々に市場が確立されてくると、システム導入コストの相場が固まってきました。その結果、小規模発電設備と大規模発電設備の中央値の差も縮まり、コストが効率化されたことで、買取価格も下がってきています。つまり、設備投資も買取価格もより適正化されたということです。
FIT制度は10年間買取価格が維持されます。年々買取価格は下がっていくので、太陽光発電を導入するなら早い方がお得です。
今後の買取価格も下がっていくと予想されています。その理由は、買取価格が太陽光発電所の設置費用と連動しているからです。技術が進歩したことで、今後も買取価格の基準となる太陽光発電システムの導入コストが安価になっていくことが予想されています。太陽光発電システムの導入促進を図っている政府も、太陽光発電システムの低廉化に力を入れていることからも導入コストは下がるでしょう。システム導入のコスト低下で導入量は拡大し、連動して電力の買取価格は下落していきます。
FIT制度では10年間は買取価格が保証されています。FIT制度の買取価格は、一般市場価格より高い価格です。しかし、FIT期間が終了すると買取価格の保証はなくなり、買取価格は一般の市場価格となります。売電収入が激減する可能性が高いです。
FIT満了後は、売電を続けるか、取りやめるかの選択ができます。取りやめる場合は、蓄電池を導入し、自宅で使用する電力の備えに回す家庭も少なくありません。また、FIP制度へ移行できる可能性があります。
FIP制度は、FITのように固定価格で買い取るのではなく、電気の受給バランスによって変動する電力価格で買取価格を決定します。FIPの買取価格には、FITと同様に割増金がついています。今後はFITもFIPに統合されていく予定です。
FIPの割増金の決まり方は、「基準価格-参照価格」。基準価格は固定されていて、参照価格は毎月変動する相場のようなものです。その差が割増金として売電価格にプラスされます。
FIT利用中にFIP制度への移行は可能です。ただし、FIP制度移行後は、FIT制度へ戻ることはできません。よく検討してから移行しましょう。FIP制度は20年間です。FIT制度が満了を迎えたケースでFIP制度を利用できるかについては、情報がありませんでした。移行を検討している場合は、タイミングに注意してください。
FITが終了したら、買取価格は下がると考えて間違いないでしょう。これまでほど収益は出ないかもしれませんが、そのまま買取を継続してもらうことも可能です。FIT満了後の選択肢は主に以下の3つです。
これまでと同じ会社で買い取ってもらうなら、手続きの必要がないので、手間がかかりません。一方、買取価格を比較して、電力会社を変更することも可能です。新電力の中には、大手の電力会社より高く買い取ってくれるところもあります。また、自宅で消費するために電気を貯めておくというのも人気の手段。停電時の備えにもなります。電気を貯める場合は、蓄電池システムの導入が必要です。
太陽光発電の電力の買取価格は、毎年下がっていきます。導入費用も安くなっているため、損をしているわけではありません。しかし、今後も下がる見込みなので、太陽光発電を導入するなら、早いに越したことはないでしょう。また、FIT終了時期も近づいている家庭では、その後の選択を検討してみてください。
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