自動車を購入するケースを例にとって「セカンダリー市場」を考えてみましょう。新車で購入したい人もいれば、中古車の購入を希望する人もいます。大まかなトレンドとして、日本国内では新車よりも中古車を購入する人が2~3割多いとされています。新品に限らず、既に使用されている中古の車にもニーズがあり、市場が存在するということです。
同様に、太陽光発電にもセカンダリー市場があります。新規FIT案件が少なくなってきていることから、今後はセカンダリー市場が活性化することが予想されています。
太陽光発電所のうちFIT認定を受けた施設については、固定価格での売電が20年間国によって保障されているので、中古の太陽光発電所であっても、(想定利回りを考えたうえで)金融商品として価値があるといえるのです。
日本で本格的に再生エネルギーの買い取りが制度化されたのは2012年。それまでにも、民間事業者や政府内で再生エネルギーの買い取りについてはさまざまな議論がありました。最終的には2011年3月の東日本大震災とそれに伴う原発事故が大きなきっかけとなって、自然エネルギーへ移行する流れが社会的なコンセンサスとなり、現在のFIT制度ができました。
2012年の開始からこれまで、買い取り条件の改定が何度も行われてきました。太陽光発電所のFIT価格は、開始以来下がり続けているのが現状で、2012年の開始当時は38円/kWhだったのが、2021年には11円/kWh程度にまで下降しています。
この背景には、多くの事業者がビジネスチャンスを求めてこの分野に参入したため、太陽光発電所が爆発的に増加したこと、太陽光パネルの価格低下で初期投資が低く抑えられるようになったことなどが挙げられます。中でも大きな改定は2020年に実施された「出力50kW未満の低圧太陽光発電所について全量売電が出来なくなったこと」です。売電収入が大きな魅力である太陽光発電ですが、今後は新規発電所よりも中古発電所のプレミアム化が進むと予想されます。
太陽光発電のFITについては2020年以降、新規案件が大幅に減っています。一方で既設の太陽光発電所の売却情報は、多く公開されています。法人による売却は減価償却が終了したため、あるいは資産売却によるキャッシュリッチを狙うためなど、さまざまな理由があります。
2015年に国連が定めた「SDGs(持続可能な開発目標)」はビジネスにおいて大きな広がりを見せており、SDGsの取り組みが企業の業績や株価、ブランドイメージなどに大きな影響を持つようになりました。環境問題、中でも二酸化炭素排出に伴う地球温暖化対策は、SDGsの目標のうち企業が強く意識する分野のひとつです。この流れを受けて、太陽光発電に代表される再生可能エネルギーにコミットしている企業が増えています。
今後セカンダリー市場が盛り上がるマクロ的な要因として考えられるのが、世界的なカネ余り現象です。コロナ禍において、各国の中央政府が市中への通貨供給を増やしたことにより、株価や不動産価格が世界中で高騰しています。
そのマネーの一部が太陽光発電のセカンダリー市場にも流れ込んでいます。外資をメインとしたインフラファンドへの投資額は上昇しており、買い意欲は旺盛だとする考えもあります。
太陽光発電所の売買においてはさまざまなリスクが存在します。売り手にとっては、市場価格よりも安い値段で売却されないように、信頼できる仲介業者を選ぶことが大切です。
また、買い手にとってもセカンダリー市場での購入にはさまざまなリスクがあります。天候に関するリスクや、施設に導入されている機械の故障リスク、土地の造成に係るリスクなどです。
太陽光発電の詳細を網羅的に勉強するのは大変ですが、必要最低限の知識だけは覚えておきましょう。ネットに掲載されている太陽光発電所の売却価格相場などもチェックしておいたほうが良いでしょう。
太陽光発電所を売却する際には経験豊富な買取業者を選びましょう。金融商品として太陽光発電所を考えるのであれば、「投資利回りがすべて」と言っても過言ではないでしょう。
一方で太陽光発電所は不動産としての投資案件であるとも考えられます。20年間の売電期間が終了した後、都市部に近い土地なら、倉庫や住宅地として売却できるかもしれません。総合的に考えた場合、買い取り実績が豊富で、適正な価格を提示してくれる買取業者に依頼するのが正解です。
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